明治時代。江戸城が開城を目前にして、天璋院・篤子（菅野美穂）に背中を押されるように大奥から戻ってきたまる（池脇千鶴）は、ある日、大奥時代の見事な着物や記念写真などの大切な荷物の中から日記を見つける。そしていつしかまるの脳裏には、走馬灯のように、篤子との思い出や大奥での出来事が鮮明に甦ってくるのだった。まるはその思い出にふけっている間に、思いがけない女性が彼女のもとを訪れる。はじめて会うはずのその女性は、なんと元大奥総取締の瀧山（浅野ゆう子）だった。まるは驚きながらも、彼女からの話を聞く。一方、まるの目の前を颯爽（さっそう）と人力車で通り過ぎて行く洋装の女性がいた。彼女こそ篤子だった。まるは心の中で戸惑いながらも、篤子との再会を果たすのだった。この物語は、明治時代の大奥の中で繰り広げられるまると篤子の交流を描いたものである。二人の絆は時を超えて続いていき、彼女たちの思い出と出来事はまるの心の中で生き続ける。この作品は時代背景や大奥の舞台設定を駆使しながら、まると篤子の深い絆や成長を描き出している。菅野美穂と池脇千鶴の演技は見事であり、特に菅野美穂の篤子の存在感は際立っている。また、浅野ゆう子演じる瀧山も物語に新たな展開をもたらし、彼女の登場によってまるの運命は一層複雑になる。さらに、洋装の篤子が登場することで明治時代と西洋文化の交流が描かれ、物語に新たな風を吹き込んでいる。全体を通して、この物語は感動的でありながらも一時代を駆け抜けた女性たちの強さや絆を讃えている。観客はまると篤子の物語に引き込まれ、彼女たちと共に大奥の世界に浸ることができるだろう。総じて、この作品は力強いストーリーと確かな演技によって魅力的な娯楽体験を提供している。歴史に興味がある人も、感動的な人間ドラマが好きな人も、きっとこの作品に引き込まれること間違いないだろう。